#18 東京都内「標準地」探訪第2回赤坂 より用語を解説

2月10日のブログ#014、「標準地」の住宅地で最高価格4,840,000/㎡となった港区赤坂1-14-11の続きです。「標準地」についての解説は前回のものをご覧ください。

東京都内「標準地」探訪 第2回 赤坂

このポイントは地積1,053㎡で建蔽率60%、容積率400%、現況は地上10階地下1階のRC(鉄筋コンクリート造)の共同住宅の敷地でした。1,000㎡超の都心の住居系の土地であることから2名の不動産鑑定士は開発法という鑑定評価の手法を適用していました。

 開発法はデベロッパーなど開発業者の事業採算性に着目して土地の価格を試算する鑑定評価の手法で評価の対象地が近隣地域の標準的な使用の土地の面積に比べ大きい場合に用いられます。まさに不動産競争入札に参加してくる事業者が入札価格を決める際の作業と同様の過程を踏まえて価格を求めることになります。今回のポイントで鑑定評価書に沿って具体的に説明していきます。

 算定の基本的な構造は土地価格=分譲マンション販売収入-建築工事費用-販売管理費という数式になります。読者の皆さんの内、投下資本収益率や複利現価率と言ってピンとくる方は以下の9行を読み飛ばしてください。

 まず前提として次の話から始めます。金貸しが今日、100万円を貸して2年後に返してもらう場合、いくら受け取れば良いでしょうか。これはシンプルな話ですね。年利率を10%とすれば複利ですから1.1の2乗で1.21倍、121万円を受け取るということになります。逆に2年後に100万円受け取るのであれば、いくら渡せばよいでしょうか。1.21で割り戻すことになるから826,446円となります。
割り戻すので10%を割引率、この1÷1.21≒0.8264が「割引率10%の2年後の価値の複利現価率」です。
複利計算による将来価値を現在価値に変換する乗数率ということです。3年ならば1÷(1+0.1)3=0.7513となります。割引率をr、経過年数をnとすると複利現価率は1/(1+r)nとなります。ここまでが大前提です。

 不動産鑑定では割引率を投下資本収益率に置き換えて土地の価格を求めます。
先の割引率は貸金業者の金利だったのに対し、不動産鑑定での投下資本収益率は開発業者の借入金利率、開発利潤率、危険負担金率から構成されています。それぞれの内訳は記載されていませんが年利9%とみています。つまり1億円投資したら1年後に1億900万円受け取れれば事業採算にのるということです。現在は金利水準が低いのでこの程度でも済むということでしょうね。これを土地価格=分譲マンション販売収入-建築工事費用-販売管理費に当てはめましょう。求める土地価格は価格時点の現在価値ですから、販売収入、建築工事費用、販売管理費を価格時点の現在価値に変換すればよいということになります。
 仮に価格時点から販売収入の受取時点までの期間を2年、価格時点から建築工事費用の支払時点までの期間を1年6ヶ月、販売管理費の支払時点までの期間を1年4ヶ月とすれば
土地価格=販売収入/(1+0.09)2 -建築工事費用/(1+0.09)3/2 -販売管理費/(1+0.09)4/3となります。つまり、投下資本収益率をr、価格時点から収入の受取までをn1年、建築工事費用の支払までをn2年、販売管理費の支払までをn3年とすると
土地価格=販売収入/(1+r)n1 -建築工事費用/(1+r)n2-販売管理費/(1+r)n3
となります。これはわかりやすくするためにシンプルにしてありますが、このポイントの鑑定評価では販売、開発スケジュールを想定し1期目販売収入、2期目販売収入、3期目販売収入、着工金の支払時期、中間金の支払時期、完成引渡金の支払時期などと実態に近づけて算定しています。

 マンションの販売収入、建築工事費用、販売管理費の算出にあたっても想定事項がいくつかあります。開発事業者がどのように計算するか興味のある方はサイトで鑑定評価書をご覧になってください。

 

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