国土交通省が作成した標準地・基準地検索システムというサイトがあります。筆者は仕事柄このサイトをしばしば閲覧します。
先ず、「標準地」、「基準地」という言葉に馴染みのない方向けに簡単に説明しておきます。新聞等でご覧になった方もいるかと思いますが、毎年3月下旬と9月下旬に地価調査の結果が発表されます。
「標準地」
3月下旬の発表が国土交通省地価公示で調査対象となる土地を「標準地」と言っています。価格を判定するのは1月1日時点です。
「基準地」
これに対し9月下旬が都道府県地価調査で調査対象となる土地を「基準地」と言っています。こちらは価格を判定するのが7月1日時点です。
「標準地」や「基準地」のことを通称で「ポイント」と言ったりします。標準地・基準地の中には重複するポイントもあります。その場合は半年ごとに価格の推移がわかるということになります。
特に「標準地」については不動産鑑定士が価格を算定する上で作成した鑑定評価書をサイトで見ることができます。
鑑定評価書にはポイントが所在する地域(近隣地域)の価格を形成する地域要因の将来予測や市場の特性などの記載があります。
そして制度上、二人の不動産鑑定士が評価することになっているので2通の鑑定評価書があり比べてみると一層興味を持って現地を見ることができます。(「基準地」は1名の不動産鑑定士が評価)
今回は第1回目ですので手始めに弊社がある東急田園都市線用賀駅が最寄りの標準地に行ってみました。
「東急田園都市線」~沿線の紹介~
東急田園都市線は神奈川県大和市の中央林間駅から渋谷駅まで40分弱(急行の場合)で結んでいます。渋谷駅から先は東京メトロ半蔵門線に乗り入れ、さらに押上(東京スカイツリー前)から東武伊勢崎線・日光線に乗り入れ埼玉県北部、利根川に近い南栗橋まで直通運転しています。
沿線には中央林間と渋谷との間に「たまプラーザ」、「二子玉川」、「三軒茶屋」、渋谷と押上との間に「表参道」、「永田町」、「九段下」、「神保町」、「大手町」、押上と南栗橋との間に「北千住」、「西新井」、「草加」、「越谷」、「春日部」、「東武動物公園」などの各駅があります。
用賀駅前の様子
「用賀」~街の紹介~
世田谷区の西部にある用賀は渋谷から5つ目の駅で12~16分(各停)かかります。渋谷や都心に通勤する方で住環境もある程度重視する方が居住されているようです。
今回の標準地は用賀駅東口から270m、商店街の通りから1本西に入った道路沿いで、マンション、アパート、一般住宅が混在する住居地域にあります。
筆者は駅前の信号で1分ほど待ち、5分で現地に着きましたから表示としては徒歩4分ということでしょう。
用賀商店街の様子
「標準地」の現況
地積は258㎡で現況は地上3階地下1階鉄筋コンクリート造の共同住宅の敷地となっています。前面道路の幅員は8mで南側で接道しています。
道路の向かい側2区画は共同住宅の建設予定地となっており1区画は着工していました。
それぞれの敷地は180㎡強、150㎡強で近隣は比較的小規模な共同住宅となっていくのではないでしょうか。
今回(令和3年1月1日時点)の公示価格は760,000円/㎡です。
公示価格の決定は不動産鑑定士の評価額を基にはしていますが土地鑑定委員会が行っています。土地の価格には工業製品のような定価というものはありえません。
実際に今回の地価公示のポイントでも二人の鑑定士の鑑定評価額が異なり、また最終的に土地鑑定委員会が決定した公示価格も異なっているという例もみられました。
今回訪れた用賀駅最寄りのこのポイントでは二人の鑑定士の評価額と公示価格は一致していますが評価の過程では二人が取引事例から算出した試算価格は異なっていました。(あくまで評価の過程での価格です)
取引事例から算出した価格を比準価格と言っていますが二人の鑑定士の算出した比準価格は、それぞれ800,000円/㎡、779,000円/㎡でした。
それで鑑定評価額は760,000円/㎡、どういうことでしょうか。このあたりのことは回をおって記載していきましょう。
実勢価格が反映された取引事例から算出した試算価格に2.6%の差があったということは覚えておいてください。
標準地付近の街の様子(前面道路)
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