#013 今年は生産緑地「2022年問題」の年! 「生産緑地法」を再確認してみます。 

 

都市部においてそれまで農地だった多くの土地が宅地として生まれ変わり市場に出回ると噂されていた『2022年問題』。その原因である「生産緑地法」が1992年の改正から今年で30年をむかえます。
今回はその「生産緑地法」について復習したいと思います。

「生産緑地法」とはどんな制度でしょうか? 国土交通省のHPで分かり易く説明されていますので抜粋します。

▶国土交通省HPより◀
市街化区域内の農地で、良好な生活環境の確保に効用があり、公共施設等の敷地として適している500㎡以上(市区町村が条例を定めれば、面積要件を300㎡まで引き下げることが可能)の農地を都市計画に定め、建築行為等を許可制により規制し、都市農地の計画的な保全を図る制度です。
市街化区域農地は宅地並み課税がされるのに対し、生産緑地は軽減措置が講じられます。

  

➊ 生産緑地法制定の背景

 都市部において人口が増え、人がどんどん流入した時代には、市街化区域農地、いわゆる都市農地については、基本的には「宅地化すべきもの」として位置づけ、認識されてきました。

1972年(昭和47年)には市街化区域内農地の宅地化促進等を計るため「農地の宅地並み課税」を実施しましたが、多くの反対や減額措置がとられ計画通りにはなりませんでした。1974年(昭和49年)に生産緑地法が制定され生産緑地には宅地並みの課税が免除になりました。これが生産緑地のスタートです。

1980年代、日本中がバブル景気に沸いたころ、東京や大阪は自他ともに認めるグローバル都市になり、地価の高騰が顕著となり(1980年代後半の5年間で約2.6倍に高騰)大都市地域における住宅・宅地供給が重要な政策課題となっていました。

そして1988年(昭63年)には当時の臨時行政改革推進審議会の答申で「合理的な土地利用という点から看過できない」とのことから「保全すべき農地と宅地化農地の明確に区分」1992年(平成4年)には三大都市圏特定市において一斉に生産緑地地区の指定が行われました。 それまですべての農地を対象に認められていた20年間の相続税納税猶予が廃止され生産緑地地区のみ固定資産税の農地課税と相続税等の納税猶予が認められたのでした。

 

❷ 生産緑地法の一部改正

 時代は昭和から平成に移りバブル期が終わり、人々も「本当の豊かさとは何か?」と考えるようになってきました。都市部においても緑を大切にするこころが芽生えてきたのです。人口減少もその原因の一つだと思いますが、それまで宅地化しようとしていた農地を近年では残そうという考えに変化してきたのです。

そして2017年(平成29年)年6月に生産緑地法の一部改正がされ、特定生産緑地制度が2019年(平成30年)年4月1日に施行されました。

『特定生産緑地制度』とは、生産緑地の指定告示から30年を迎える前に申請することにより「特定生産緑地」として生産緑地を10年延長できる制度です。(以降10年ごとの更新可能)

指定を受けると固定資産税等の農地課税が継続され、新たな相続が発生したときに相続税猶予制度の適用を可能となります。

※ 特定生産緑地制度の指定を受けない場合は、その農地の固定資産税等段階的に引き上げられ、新たな相続が発生したときに相続税猶予制度の適用が受けられません.。

 

❸ 生産緑地法制定から30年

年2022年(令和4年)に東京都内すべての生産緑地面積の8割以上が指定告示から30年を迎えるといわれています。4~5年前、2022年には大量の宅地が市場に出回り都市部の不動産価格が下落するとの噂が不動産業界に流れていましたが、 前述の通り生産緑地法が改正されたため、売却物件として不動産市場に出回る件数はかなり少ないと予想されています。
実際この1年でどのくらいの農地が宅地として市場に登場するのか注視したいと思います。

 

 

 

「不動産オークション」実績多数!
大きめの土地を売却ご検討方はぜひ㈱ユアーズ・コーポレーションの「不動産売却入札システム」をご利用下さい。